CAIS

complete androgen insensitivity syndrome

完全型アンドロゲン不応症

   ver.2011-11-16

変更履歴
スレ1cash 削除 / 脳の性差・性ホルモン分泌量図 追加 / 告知パターン 追加 /
AIS の分類と頻度 追加 / 性別に関する法および社会の対応ついて 追加 /
AUS-CAIS-PDF 邦訳 追加 / そけいヘルニア 追加 / 結婚情報 追加 / 遺伝情報 変更 /
知られているDSD女性 追加 /
精巣摘出 変更


修正の必要な項目等についてはこちらまでお知らせください
muteあっとま~くhyper.cx


【半陰陽】アンドロゲン不応症は結婚できない? [DAT落ち]
2ch 身体・健康板    http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/body/1194967952/

【半陰陽】完全型アンドロゲン不応症Part2
2ch 身体・健康板    http://toki.2ch.net/test/read.cgi/body/1253594742/l50


★参照文献
(01) [KIMURA木村クリニック泌尿器科] 性分化の機序
   http://homepage2.nifty.com/kimura-c/topics/seibunka030309.html
(02) [Feedback note of medicine] 男性仮性半陰陽
   http://suuchan.net/note/Chapter-190102.html
(03) [だらだら医学生の医学系情報サイトへようこそ] 性分化の異常
   http://www.geocities.jp/peach_1119/Ob_Gyne/congenital_anomalies.html
(04) [毎日新聞] 性分化疾患新生児:男女の判定にガイドライン 症例調査へ
   代替リンク http://plaza.rakuten.co.jp/junko23/diary/200909280000/
(05) [wikipedia] エストロゲン
   http://ja.wikipedia.org/wiki/ %E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%82%B2%E3%83%B3
(06) [産婦人科の基礎知識] 生殖器のしくみ
   http://www.san-kiso.com/sonota-karada.html
(07) [wikipedia] プロゲステロン
   http://ja.wikipedia.org/wiki/ %E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B2%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%B3
(08) [wikipedia] アンドロゲン
   http://ja.wikipedia.org/wiki/ %E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AD%E3%82%B2%E3%83%B3
(09) [性の悩み 恋愛相談] 濡れるメカニズム
   http://www.nurs.or.jp/~odaikan/cgi-bin/adult/lovedis/page124.html
(10) [wikipedia] Y染色体
   http://ja.wikipedia.org/wiki/ Y%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93
(11) [横浜市立大学医学部泌尿器科学教室] 女児・男児誕生のしくみとその異常 -性分化-
   http://www.asahi-net.or.jp/~rw6h-uemr/topic/sexualdiffer.html
(12) [性分化疾患( Disorders of Sex Development)の子どもとその家族のセルフヘルプグループ]
   インターセックスの子どものマネージメントガイドライン

   http://www14.ocn.ne.jp/~pesfis/self3.html
(13) [GeneReviews 日本語版サイト] アンドロジェン不応症候群
   http://grj.umin.jp/grj/androgen.htm
(14) [日本小児内分泌学会性分化委員会] 性分化異常症の管理に関する合意見解(平成20年3月1日)
   http://jspe.umin.jp/gak_dl/guide11203565.pdf
(15) [wikipedia] 脳の性差
   http://ja.wikipedia.org/wiki/ %E6%80%A7%E5%B7%AE
(16) [wikipedia] Androgen insensitivity syndrome (英文)
   http://en.wikipedia.org/wiki/Androgen_insensitivity_syndrome
(17) Women's and Children's Health / CAIS-PDF (豪州/英文)邦訳
   http://www.rch.org.au/publications/CAIS.html
(18) [時の法令1624号 56-66頁 2000年8月30日発行 民法化の法理 医療の場合 68] 性は「男と女」に分けられるのか
   http://cellbank.nibio.go.jp/information/ethics/refhoshino/hoshino0096.htm
(19) [13と同一の英文原著の別訳 / 少し詳細?] アンドロジェン不応症候群
   http://genetopia.md.shinshu-u.ac.jp/genetopia/ gr-20060422/20060421genereview/androgen.htm
(20) [アンチエイジングネットワーク] スポーツ競技におけるセックス・チェック問題を採りあげる
   http://www.anti-ageing.jp/guide/show/d200906090005.html
(21) [wikipedia] 子宮移植
   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%90%E5%AE%AE%E7%A7%BB%E6%A4%8D
(22) [日本インターセックス・イニシアティブ]
   http://www.ipdx.org/japan/
(23) [AboutKidsHealth: How the Body Works: CAIS Before Birth]
   http://www.aboutkidshealth.ca/HowTheBodyWorks/ CAIS-Before-Birth.aspx?articleID=13570&categoryID=XS-nh6-04a
(24) [PDF / Complete Androgen Insensitivity in three Generations of a Family / Gujarat 著]
   http://www.krepublishers.com/02-Journals/ (URL途中略)/IJHG-08-4-361-08-343-Rao-M-V-Tt.pdf
(25) [AISSG] Androgen Insensitivity Syndrome Support Group
   http://www.aissg.org/22_CAIS.HTM
(26) [Oxford Journals] Androgen receptor gene mutations in 46,XY females with germ cell tumours
   http://humrep.oxfordjournals.org/cgi/content/full/14/3/664
(27) [McGill] The Androgen Receptor Gene Mutations Database World Wide Web Server
   http://androgendb.mcgill.ca/
(28) [科学研究費補助金データベース] 乏精子症,無精子症のアンドロゲンレセプタ-遺伝子異常の解析と発現系を用いた検討
   http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/09671722
(29) [OMIM] Onlinemendelianinheritanceinman / AIS
   http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/dispomim.cgi?id=300068
(30) [macska dot org] 「流産防止剤DESが理由で性同一性障害になった」説について
   http://macska.org/article/20
(31) [NCBI]The incidence of complete androgen insensitivity in girls with inguinal hernias ---
   http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15868573
(32) [∞生命(いのち)はつながっている∞]《DES(流産防止剤)の悲劇》
   http://blogs.yahoo.co.jp/yume_kokoro_mirai/10062924.html
(33) [婦人科スポーツドクターのマラソン日記] 性別疑惑 その1
   http://running-doctor.blogspot.com/2009/08/blog-post_21.html
(34) [JRSM] Intersex and the Olympic Games
   http://jrsm.rsmjournals.com/cgi/reprint/101/8/395.pdf
(35) [Yahoo Health] AIS Article
   http://health.groups.yahoo.com/group/intersex101/message/31
(36) [医教] 新生児スクリーニングについて
   http://www.ikyo.jp/useful/081001screening.html
(37) [year note] 新生児マススクリーニング
   http://shoecreams.blog77.fc2.com/blog-entry-76.html
(38) [Bodies Like Ours BBS] CAIS woman getting married next month邦訳
   http://www.bodieslikeours.org//forums/showthread.php?t=2171



 こちらにたどりついた方のための第一番目の、そして最も重要な情報。

 CAISはほとんど常にごく普通の女性である (19)



index

CAIS概要

ヒトの子宮内の胎児は男女とも当初、外性器・内性器とも同一で未分化状態にある。
内性器・外性器・脳の3つのエリアは、プログラム的に、なにもなければ全て女性化する仕様となっている。

STEP.1
XY遺伝子を持つ胎児の場合、Y染色体上にあるSRY遺伝子が機能して性腺が精巣となる。SRY遺伝子がない場合と、あっても何らかの異常で作用しなかった場合に性腺が卵巣となる。

STEP.2
XY遺伝子を持ち精巣を持つ胎児では、妊娠十二週から十八週にかけて(時期につき異説あり)、精巣からアンドロゲン(男性ホルモンの一種)が大量に分泌され、体内と脳内をかけめぐり(=アンドロゲンシャワー)、他の内性器・外性器及び脳が男性化する。

しかし、アンドロゲンを受け取るべき(すべての細胞内に存在する)アンドロゲン受容体が全く機能しない場合、一定の待機状態のあと、他の内性器・外性器及び脳はプログラム通り女性型として発達を始める。

精巣は多くの場合腹腔内に滞留したままになり、ミュラー管及びウォルフ管はともに消滅する。

表1 (01)(11)(15) 【性分化】
 ←CAIS女性の場合

男性型        女性型

STEP.1
性腺
精巣         卵巣

STEP.2
ミュラー管
退化         腟(後方部1/3)
退化         卵管
退化         子宮

ウォルフ管
副睾丸(精巣上体)  退化
精管         退化
精嚢         退化
射精管        退化

共通パーツ
陰茎         陰核
陰茎海綿体      海綿体
陰茎亀頭       陰核亀頭
尿道海綿体      小陰唇
(陰茎尿道を含む)
陰嚢と陰茎の腹側表皮 大陰唇
前立腺        傍尿道腺(Skene腺)
尿道球腺(Cowper)  バルトリン腺
前立腺小室      膣(入り口2/3)

脳(共通)
男性脳(傾向)    女性脳(傾向)


このように受容体が全く機能しない場合はCAIS(完全型アンドロゲン不応症)と呼ばれ、外形的には出生から成人に至るまでXX遺伝子を持つ女性との差異が少ない。
(注:スレッド1での報告によれば身長が高めの可能性あり)

一方で受容体が部分的に機能している場合はPAIS(部分型アンドロゲン不応症)と呼ばれ、外形的には半陰陽(性別が見分けにくい状態)である場合が多い。

ちなみに、受容体の機能がかなりの部分で働いている場合は、AISカテゴリーではなくライフェンスタイン症候群という独自のカテゴリーで呼ぶことが多い。

CAISの場合は出生時にもれなく女性と他者認識され女児として育てられる。
体内の分泌腺は(たとえば精巣であっても)女性ホルモンを分泌するため、女性としての二次性徴も問題なく促進される。
このような育成過程から、本人の性自認は女性となる。

なおCAISの発見は次の二つのパターンがほとんどである。
1 思春期以前に精巣がそ径部腫瘤として見つかる
  (精巣が迷入している陰唇内ヘルニアあるいは鼠径ヘルニア (18)
2 思春期に無月経や性毛の発毛不全で気づかれる

AIS の分類と頻度

分類 (13)(19)

AISは次の3種の表現型に分類されている

CAIS complete androgen insensitivity syndrome 完全型(全てが女性状態)
PAIS partial androgen insensitivity syndrome 不全型(部分型)(かなり女性←→かなり男性)
MAIS mild androgen insensitivity syndrome 軽症型(ほぼ男性)

この区別は表現型としての区分であって、検査数値による自動的な区分ではないことに注意が必要である。

CAISに関して言うなら、通常、臨床所見と検査結果のみでなされる。
つまり、見た目が女性で本人自身も性自認が女性であり、外性器も女性として通常の形をしていて、XY遺伝子を持っている場合にCAISと診断される。

ただし、他の原因(疾患)によるものである可能性を除外するため、受容体(AR = androgen receptor)機能数値を確認し、その他の数値をも考慮した上で診断は行われる。

ちなみにPAISとMAISの診断はX連鎖に合致する家族歴が必要となることもある。

このように表現型においての診断であるため、思春期以前の診断にもかかわらず、思春期での二次性徴の過程により、表現型としてのカテゴリーが変更されることは、理論的にはありうる。

にもかかわらずこのようなカテゴリー区分が使われているのは、観察・治療・アドバイス・サポート面において、混乱が生じることなく適切な対応がとれるからである。

(ちなみにこれは、次節、『スレッド2がCAIS限定となった理由』と全く同じである)

頻度

(13)(19)
CAISの頻度は2-5人/100,000人と記載されている.これは他に異常がなく,そ径あるいは腹部に組織学的に正常な睾丸が確認された女性の数から推測されている.
オランダでの10年以上にわたる調査では,AISの頻度は最低で1人/99,000人と算出された.


(引用注:そのままXY遺伝子グループ内数値として比例計算すると日本でのCAIS当事者数は、1000~2500人または250人ということになる)

1 in 20,000 live births. 新生児二万人に一人。

CAIS女性の症例を扱う医者ドラマなど、最近のUSAにおいて、論文ではない色々な場所で使われているが、出典は不明。

incidence (発生頻度)と出典に関する記述のみ抜粋
(26)
[ais] 1:62,400 males (Jagiello and Atwell, 1962)
[ais] 1:20,400 males (Bangsboll etc 1992)
(29)
[ais] 1:99,000 males (Boehmer etc 2001)オランダ全土調査・デンマーク、最小で

スレッド2がCAIS限定となった理由

PAISの場合、
1 外形的にほとんど男性から外形的にほとんど女性まで幅広い状態がある
2 戸籍及び育てられ方及び他者認識が男性の場合と女性の場合がある
3 性自認が男性の場合と女性の場合がある
4 性交が『機能的』に男性として可能か女性として可能かバラバラ
5 性交が『心情的』に男性として可能か女性として可能かバラバラ

CAISの場合は1~5までが全て女性。
よって「woman with cais」というくくりの範囲で、一般的な議論と先輩のアドバイスが可能。
PAISの場合は1~5までの組合せが無限に近く、適合手術まで含む対応が必要で、医師と心理学の専門家が組んで個別にサポートするエリアになると思われる。

遺伝情報

23 pairs の染色体

01 ~ 22

↑両親それぞれからもらった染色体を同一のペア同士でまとめて22ペア(44本)

23
X(母)とX(父)、またはX(母)とY(父)

母親からはどっちにしろXだけど、父親の精子はXかYどっちか

で、合計46本持ってる

人の性別決定パターン

男性の体の中で
精巣→46XY(46本セットで最後の二本がXY)
    │
    └減数分裂┬─→23X(22+X)の精子
         └─→23Y(22+Y)の精子

女性の体の中で
卵巣→46XX(46本セットで最後の二本がXX)
    │
    └減数分裂┬─→23X(22+X)の卵子
         └─→23X(22+X)の卵子

表1
組合せ♂(XY)
精子23X精子23Y
♀(XX)卵子23X46XX46XY
卵子23X46XX46XY

CAISの遺伝パターン

前提:
母親の遺伝子の片方がCAIS遺伝子。なおCAIS遺伝子を持つ『父親』は存在しないため、『遺伝による』Wキャリア母親は前提とは関係なく存在しえない。

卵巣→46XX(46本セットで最後の二本がXノーマルとXキャリア)
    │
    └減数分裂┬─→23X(22+X)の卵子
         └─→23Xキャリア(22+CAISのあるX)の卵子

表2
組合せ精子23X精子23Y
CAISキャリア卵子23X46XX46XY
卵子23Xキャリア46XXキャリアCAIS・46XY

数値から見た不整合

女性の生涯出生児数が2.00(1976年の日本と同等)であったと仮定すると、CAISキャリアの次世代伝達数は、上記の表に従い0.5人となります。
46XY-CAIS が常に同時期に同数存在する第二の仮定を置くなら、0.5人分不足となってしまいます。

(17)
It should also be noted that in one- third of girls with CAIS, it is caused by a spontaneous genetic change in the newly formed foetus at the time of conception, rather than being inherited.
注意すべきは、CAIS女性の1/3で、遺伝により引き継がれたのではなく、受胎以降の胎児の体内で新たに自然発生的に遺伝子変化が引き起こされている点です

このデータをもとに次のことが予想されます。

46XXCAISキャリア女性も自然発生的に同数発生しているはず。

受胎後の発達過程で遺伝子が変異するなら、それは内的要因よりも、外的要因(特定物質・特定ウィルス等)によるものと思われます

であるなら、このキャリア女性は『Wキャリア』となるでしょう。外的要因がふたつのXに対し同じように変異を起こすことは予想の範囲内です。逆に片方だけが変異すると考える根拠はありません。

キャリア女性の1/3が自然発生的なもので、なおかつもれなくWキャリアである、と仮定すると、冒頭の数値の不整合は解消されます。

表3
組合せ精子23X精子23Y
遺伝キャリア卵子23X46XX46XY
卵子23Xキャリア46XXキャリアCAIS・46XY
遺伝キャリア卵子23X46XX46XY
卵子23Xキャリア46XXキャリアCAIS・46XY
発生Wキャリア卵子23Xキャリア46XXキャリアCAIS・46XY
卵子23Xキャリア46XXキャリアCAIS・46XY
 
非キャリア卵子23X46XX発生Wキャリア発生CAIS・46XY
卵子23X46XX発生Wキャリア発生CAIS・46XY

自然発生的CAIS女性の姉妹に関して言うなら『遺伝的要素により他の姉妹がキャリアである可能性』はゼロですが、同様の変異をもたらす環境が同じく存在する可能性が高く、その場合は、姉妹が発生Wキャリアとなります。

スレッド2で質問のあった、CAIS女性の姉妹のキャリア可能性について言うなら、表3にもとづき、一般的な確率は、6/8 = 75% となります。
これは外的要因が100%リピートされる前提での数値です。

母親がキャリアであるか否かは、身体的特徴(無毛等)に現れていることがあります。
(17)
It has been reported that the mothers of women with CAIS have somewhat less pubic hair than women who do not carry the CAIS gene
報告によれば、CAIS女性の母親はCAIS遺伝子キャリアでない女性より陰毛が少ないようです。
1/3のWキャリア女性が平均値を下げているのか、片方のキャリアであっても、それなりに受容レベルが下がってしまうのかは不明ですが、完全な無毛であったなら、高い確率でキャリアと考えられます。

----------------------------------------------------------------

当項目(数値から見た不整合)は、当ページ執筆者の推測に過ぎませんので、その点はあらかじめご了承下さい。

また、『PAISキャリアの親からの遺伝形質がCAISに変異する可能性』についてここでは検討していませんので、そちらにもご留意ください。

遺伝ではない自然発生CAISの原因
(28)
AIS 患者において AR の exon A の glutamine repeat が逆に正常人よりも少なく、そのことにより in vitro の発現系で AR の細胞での発現が低下している


(27)
Related resources:
* Mutation map includes all mutations (both AIS &CaP)

あたりをクリックすると、アンドロゲン受容体遺伝子のゲノム全体像と、「ここが壊れてCAISになっちゃうんだよね~」的な記述があって、(28)の意味は、繰り返してなきゃいけないとこが、繰り返さずに終わってしまってるために、うまいことARが動かないんだと、そう言ってます。

しかし、なぜそれが起こるのかについては、未だ判明していません。
困難な研究なのか、それとも薬品業界の裏側に抵触してたりするのか……

(17)
AISに関する最初の医学報告は1953年にJ.M.モリス、アメリカの婦人科医によって発表されました。


ということで、まだ56年しか経ってないために、データが不足していると見るべきでしょう。
ジエチルスチルベストロール(DES=流産防止剤)に関する情報
(30) はGID関連の記事なのですが、流産防止剤(DES)に関する詳細が、
下のほうのコメントにあります。

(32)
DESは合成エストロゲン(女性ホルモン)ですが、流産防止剤として、1948年から1971年に禁止されるまで世界中で500万人以上の妊婦が服用しました。

ジエチルスチルベストロール wikipedia 部分引用
米国においては、1938年から1971年にかけて500-1000万人に処方されたとされる。
日本では1971年に厚生省から妊娠中の使用を忌避する通達が出ているが、1973年に製造が中止された。多量には使用されていないとされている。


結論:
現在35歳未満の日本のCAIS女性はこの薬物の直接影響を受けた結果ではありません。
(ただし、2世代目での影響については不明)

CAIS女性の特徴

図1 性ホルモン分泌量の模式図
A
B*10%
XX女性
 
A*40%
B
7mg
XY男性
 
A*40%
B*0%
CAIS女性
 
女性ホルモン
分泌量
男性ホルモン
分泌量
分泌されるが
使われない
男性ホルモン


ほぼ確定的な特徴
にきびがなく肌がきれい[net論文等][スレッド1] →男性ホルモンの影響がないため

背が高い[net論文等][スレッド1] →Y成長遺伝子が原因と推定

 (10) 『染色体異常(転座)によるSRY遺伝子欠失XY型女性は、
     このY成長遺伝子を持つため、XX型女性より平均9cmほど身長が高くなる』

陰毛、腋毛が極端に薄い[net論文等][スレッド1] →男性ホルモンの影響がないため

確定できないが可能性が高い特徴
性格的に攻撃性が低い[net論文等] →男性ホルモンの影響がなく女性脳

性欲少な目 [Yes2名 No1名 at スレッド書き込み]
 XX女性でもアンドロゲン受取レベルは男性の10%。
 一方で性欲を抑制するほうのセロトニンは男性の2倍くらい。
 だから男性に比べ女性の性欲は、もともとかなり低い。
 CAIS女性ではアンドロゲン効果が実質ゼロに等しいので、
 セレトニンが半分であっても、性欲は(平均値として)少な目になる。

胸が大きい[net論文等][スレッド1]
 エストロゲン(女性ホルモン)の総供給量がXX女性の40%程度なので
 平均値を越える明確な理由は少ないが、(25) において、CAIS説明中、
 Large breasts with juvenile nipples
 『少年のような(小さい)乳首の巨乳』という記述がある。

 (26) [Oxford Journals]
 Androgen receptor gene mutations in 46,XY females with germ cell tumours
 Figure 1. Phenotypic manifestation in case 1.

噂レベルの特徴
美人[スレッド1] 特定不能
 二次性徴においてXX女性と同様に女っぽい方向へ向かうのは確かだが、美人であるかどうかを医学的に検証する研究は今後もなされないだろうと思われる。
 スレッド内では、当事者も含め賛否両論。

で、男の目から見てCAIS女性はどう映るのか?
  • にきびがなく肌がきれい
  • 背が高い
  • むだ毛がない
  • おとなしい性格
  • エロ度低め
  • 巨乳
当然、個体差はあるでしょうが、議論するまでもなくこの女性は『モテ女』です

Large breasts with juvenile nipplesLack of Public Hair
の二点については、二人きりの当該場面において、男性から見て非常にポイントが高いことを付け加えておきます。

その実例は、下記、『結婚情報』の海外事例を参照してください。

その他情報

そけいヘルニア
CAISにおいては、そけいヘルニアが非常に多く発生する。スレッド1での報告や医療データなどで、新生児~乳児での手術も多い。

もともと、ヒトの体には腹腔と外陰部を結ぶ穴が存在していて、通常は子宮を支える靭帯や精管などがそこを埋めるので、幼児期を過ぎた頃にはふさがった形になるのが一般的。

しかしCAIS女性の場合、その穴が使用されることがない。そのため新生児ではぽっかり穴があいたままの状態となっていて、ふさがるには数年かかる。

また、精巣が通過した後であるなら、なおさらだと思われる。

ヘルニアというのは、どこかの穴から腸膜等が異常にはみ出してしまうことを意味し、CAIS女性の場合の上記構造上の理由により、高い確率でそけいヘルニアを発症する。また複数回発生することも多い。

ヘルニアの突出部の根元が圧迫され血行を阻害されてる状況なら手術をする。それ以外は2~3ヶ月様子を見るのが一般的。
生後1ヶ月で手術というスレッド2での報告の場合、血行が阻害されていたため、「赤ん坊を手術」という決断に至ったと考えられる。

また、女児におけるそけいヘルニアの発生率が低いという点から、女児のそけいヘルニア発症時に、性染色体の検査やMRI等による子宮の確認を行えば、月経開始時期よりももっと早くCAISを発見できる可能性がある。
(スレッド2での提案)

(32) 2005年までの(このドクターの)データで、CAISはそけいヘルニア女児の1.1% (3/270)だった。

ただし、新生児スクリーニング(注)が、新生児の生命の重大な危機や、重い障害が発生するのを、未然に防ぐために行われるのに対し、CAIS自体は直接生命の危機をもたらすことがないため、この方法で予算等を確保するのは、現実的にはかなり困難であろうと推測する。

  注:(36,37)
    新生児スクリーニング=新生児マススクリーニング(in日本)
    下記の疾患を対象とした新生児検査

    ・フェニルケトン尿症  約8万人に1人が発症
    ・ホモシスチン尿症  約40万人に1人が発症
    ・メープルシロップ尿症  約40万人に1人が発症
    ・ガラクトース尿症  約50~100万人に1人が発症
    ・先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)  約4千人に1人が発症
    ・先天性副腎過形成症(一部DSDs)  約2万人に1人が発症

    スクリーニング費用:発症してからかかる費用=1:1.8の試算に基づき、
    行政の費用(+個人負担3000円程度)で、ほぼ全員で実施されている。
    現在ガスリー法を中心に行っているが、さらにタンデムマス法を併用して、
    あわせて23種類の疾患を検査する方向に向かっている。

   引用注:タンデムマス法の中にAIS・DSDs(性未分化疾患)関連のものはない

結婚情報
スレッド1及びスレッド2において、普通に結婚してる、という当事者からの報告がされています。

(24) のPDFの2ページ目にある、3世代CAIS家系の家系図を、(ちょっと見にくかったために『無断で』リライトしたバージョンで)ご覧下さい。

3generation.pdf

見て欲しいのは、4人のCAIS女性のうち、まだ19歳の第4世代を除く3人が、普通に結婚している点です。存命のCAISおばさん二人はそれぞれ50歳と46歳。

ちなみに、検査等は全くしてなかったとのことなので、彼女ら二人が結婚して数年した頃に親戚のかわしたであろう会話は次の通り、……だろうと推測します。

「なんで子供が出来ないんだろうね~、不思議だよね~
 ○○○おばちゃんとこも、いとこの△△△ちゃんとこも出来てるのにね~
 肌が綺麗で性格も大人しくて、おっぱいも大きくて、
 男が放っておけない感じのいかにも女って感じのコだしさ。
 もしかしたら旦那、やり方知らないのかね~ 今度そっと聞いてみようか……」

検査等で自らがCAISである事実を知ったとき、「結婚は無理なの?!」と叫びたくなるのも当然と言えば当然ですが、わかんなきゃわかんないで、子供のいない普通の奥さんとして暮らせてるわけで、夫となる男に対し、最低限、子供が出来ない旨の告知さえすれば、(細かいことを言わなくても)十分にフェアであると思われます。

夫(彼)にも言えない秘密のひとつぐらい、女なんだから、あってもいいんじゃないかと。

なお、(24)のCAIS家系は、第4世代19歳、身長165cm体重53kgのお嬢さんから始まり、それから順番に家系をたどっていって判明したもののようです。
数値的情報
(03)
LH(黄体形成ホルモン)が高い
血中テストステロンは通常男子正常値
鼠径ヘルニアの出現率が高い

(05)
男性の場合はテストステロン(男性ホルモン)を元に、エストロゲン(女性ホルモン)が作られて分泌される。その量は更年期の女性(閉経後女性)と同程度とされる。CAIS女性においても同レベル(XX女性閉経前の40%)と推定される。(図1参照)
精巣摘出
以前は高い悪性化リスクの回避を理由に早期摘出が推奨されていたが、次の五つの理由により、摘出自体をしない方向へと進んでいる。

 1 体内における停留睾丸の腫瘍化に関する以前の統計がCAISの統計ではないこと。
   スレッド1情報でPAISとCAISには危険率に大きな差があることが判明。
   ↓2008年のこのデータ
(14)

リスク   疾患    悪性化リスク 推奨治療 患者数
高リスク群 PAIS陰嚢外  50%   性線摘出 24
中リスク群 PAIS陰嚢内  ??%   ???   0
低リスク群 CAIS      2%   生検?  55

(2008年Publishedの文書内のデータ)
 2 精巣から分泌されるテストステロン(男性ホルモン)を元に、
   多量のエストロゲン(女性ホルモン)が作られているので、
   摘出すると、逆に、女性としての二次性徴が阻害されてしまう

 3 摘出によりホルモンバランスが崩れ、
   エストロゲン(女性ホルモン)投与が必要となり、
   そのための副作用が発生する

 4 本人が成人して、手術のプラスマイナスに関して納得できるまで、
   重要な器官の摘出はやるべきではないという
   「合意の必要性(インフォームドコンセント)」
   に基づくもの
   (PAISであって女児として育てられている場合は、幼児のうちに摘出し、
    アンドロゲンが男性化を促さないようにする必要性との葛藤が発生する)

 5 ダミー卵に対する人工授精という手段が使えなくなる。(16)

(注)
XY男性の精巣は通常、胎児期に卵巣と同じ位置から陰嚢へと下降してゆく。
CAIS女性であった場合ゴール地点がないため、同一パーツの女性型発達の、大陰唇またはその近辺で滞留する可能性は高く、また実際に多いと思われる。

女性としての外性器付近の外観が損なわれるために、医師が除去を考えるのも、ある程度やむをえない流れではある。

ただし外陰部停留精巣に関して言うなら、腹腔内にあるよりは表皮近くにあるほうが精巣の活動は活発となり、結果として女性ホルモンの分泌量は多くなるはずである。見た目の異端さと女性方向への二次性徴の充実度の取引がここに発生する。

一生除去しないほうがホルモンバランスから見て最良の判断ではあるが、セックスの場面では、視覚的にとてもベストな状態とは言いがたい。
思春期が終わるまでというのは、上記5項目以外に、メイクラブの季節までは、という意味合いも含んでいるのかもしれない。
セックス等の情報
膣内分泌液が不足がち ←特定不能 [Yes5名 No1名 at スレッド書き込み]
  • 膣内分泌液のメインは膣粘膜下の毛細血管から、
    女性が性的に興奮するに従い血漿成分が粘膜を透過してしみ出す、
    という説が現在では一般的。

  • 「ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)放出ホルモン」GnRH →CAISでは欠如
     子宮内膜の妊娠状態の維持等にかかわるのは知られている
     頸管粘液の分泌量を増加させる等のほか、排卵前に分泌され、
     受胎しやすくする状態に一時的に女性の体を変更したりする。

  • プロゲステロン →CAISでは欠如
     子宮内膜や子宮筋の働きを調整したり、乳腺の発達などに関る

  • LH(黄体形成ホルモン) →CAISでは高い
これらとの関連性が疑われるが、膣分泌液を特定した記述は発見できない
膣の長さが不足ぎみ
性分化の一覧表でわかるようにミュラー管の退化が原因。
しかし、平均で3分の2が残るので、多くの場合手術をすることなく、パートナーに手伝ってもらって補完ができる模様。
[net論文等][スレッド1 1-148 & 1-150]

理想的なドクターの告知に関して

 当事者の方に大幅に書き換えてもらう前提で作成してあります
×(例として) ちょっと無神経&無知かなバージョン

「あなたは遺伝子的に男性です。
 遺伝子はXY型で、本来男として生まれ、育つべきでした。
 しかしアンドロゲン受容体不応という先天性疾患により、
 正常に男性へと成長せず女性の外形となりました。
 あと、子宮と卵巣はなくて睾丸が体内にあります。
 停留睾丸はがん化する恐れがあるので早めの摘出が必要です」

プラン2 客観的なバージョン ターゲット=成人

「あなたは完全型アンドロゲン受容体不応という先天性疾患を持った女性です。
 この疾患のため、受胎後4週間目からコースを変え女性として成長しました。
 受胎のときの遺伝子がXY型なので、子宮と卵巣はありません。
 子供を生むことはできませんが、
 同じ境遇の方で結婚なさってる方もたくさんいらっしゃいます。
 急な話で、心の中でおりあいをつけるまでが大変でしょうが、
 医師として私もサポートしますので、がんばってくださいね」

プラン1 メルヘン度高めなバージョン ターゲット=中学生

「今日は、すごく大事なことがわかったんで、これからお話しします。
 これから言うこと、すぐには信じられないだろうし、すごくつらいだろうけど、
 よく聞いて欲しいんだ、大切なことだから。

 あなたの体はお母さんのおなかの中でまだ胎児のときに、『女の子になろう』と決めてた。
 そして今私の目の前にいるあなたは、予定通りとっても可愛い女の子になってる。
 多分もう少ししたら、素敵な女性にかわるんだろうね。
 いや、美人になるかどうかは保証できないけど。
 医者は適当なことを言ってはいけないんでね。

 ところが、君の体の中で、神様が間違いを犯してるんだ。
 あなたの遺伝子はXY型で、その中には男性として成長するプログラムが入ってた。
 でも、あなたの体はアンドロゲン受容体不応という先天性の疾患を持っていて、
 そのせいで遺伝子のプログラムが動作することがなくて、
 『女の子になろう』という方向で一致して、体の全てが作られていったんだ。
 お母さんのおなかの中でね。

 そういったわけで、あなたは女の子として生まれ、何の問題もなく育った。
 でもね、さっき言ったXY遺伝子のせいで、受精して12週間ぐらいで、
 あなたの体の中にあった子宮と卵巣は退化してなくなってしまった。
 だからあなたの体にはそのふたつはなくて、
 とっても言いにくいことなんだけど、子供を産むことはどうしても無理なんだ。

 完全型アンドロゲン受容体不応というのが正式な名前で英語ではCAISと呼ばれている。
 『子供は産めないけど、それ以外はふつうの女の子』
 というのが、私から見た現在のあなただ。

 とんでもない話で、今あなたの頭の中は収拾がつかない状態にあると思う。
 ゆっくり、整理をしていけばいい。時間はいくらでもある。
 これから、色んな悩みとかが出てくるだろうと思うけど、
 私とか、ご両親に、そのたびに聞けばいい。
 あなたが幸せになるために、私達は力を貸したいと思ってるから、
 そのこと絶対忘れちゃダメだよ?」

性別に関する法および社会の対応ついて

生まれたばかりの新生児の股間を見て、男か女か判別し性別を決定する。
そしてそれに従い、子供は性別によって異なるプログラムで育成し、
成人となっても、いくつかのエリアで性別により異なる対応をする。

このプロセスが過去・現在において普通に行われていた事に対し、
人々がそのすべてを非難することは明らかな誤りである。
現在でも簡易的で最も有効な手段であることについては、何の疑念もない。

ただし、このやり方により不都合の生じている人々に関し、
『彼ら(あるいは彼女ら)の不利益を最小化したい』という要望が、
現在の世論の多数意見であることもまた事実である。

性分化障害と性自認障害を持つ人たちの不利益を最小にするために、
多くのドクターと一般の人々と当事者が、世界中で努力を重ねている。

条件は厳しいが、性同一障害を持つ人の性転換に関連した戸籍法改訂なども、
その成果だと言えるだろう。

(18)
従来、性の判定には、単に、

一 染色体の性の判定:性染色体がX染色体か、Y染色体であるか?
二 生殖腺の性の判定:生殖腺が精巣であるか卵巣であるか?
三 外生殖器の視診による印象
  :特に陰茎あるいは陰核と患われるものの長さによる判定
四 骨盤内、鼠径部あるいは骨盤底の画像診断や手術などによる内生殖器の観察
五 脳の分化の性差

などが使われてきている。
出産直後の性別判定においては、三のみであるが、不確かなものである。
性差の発生異常の原因の研究は、最近の遺伝子の解明を含めて、
ここ一○年以内に限っても長足の進歩をしており、
詳しく解明されてきているのである。
したがって、結論を先に言えば、出産直後に、
すべての赤ちゃんの性別を判定することは不可能であり、無謀なことである。
男か女かのいずれかの性別のみを記録することを義務づけている現行の法律は、
現状に即さなくなっているので、即刻改正するべきであろう。

(18)
昭和二三年年一二月一日民甲 一九九八号 民事局長回答
「出生当時男女の性別を判定できないため出生証明書が作成不能であり、
 一同書面を添付できない出生届であっても、監督法務局長の指示により、
 追完を前提として出生届が受理される」

 (中略)

出生届の用紙に、
「『男女識別不能』あるいは『性別判定が可能になるまで性別記載保留』の項目に 該当する場合にはそのいずれか該当する項に印をつけ、性別を記入しない出生証明書を添付して出生届を提出することが可能である」
と印刷がしてあれば、たとえ監督法務局長の特例を知らない一般国民も、いずれかに印をつけて、届けを済ますことが可能である。
このような人権擁護のための配慮が全くなされていない現状に、人道的立場並び医療の倫理の見地から憂えるものである。



「なぜ性別が必要なのか。現にそのために私達は苦しんでいる。性というのは個人的に存在するのものでないのか? 区別は不要だ!」
という意見もあるが、現行の社会が男女二分化性別を基本として構成されているで、その前提を一挙に無くしてしまったら社会は大きな混乱にさらされてしまう。

しかし、オリンピックでのセックスチェックの歴史を見ればわかるように、『女性か否かの判定は遺伝子がすべて』という意見は、もうすでに現実的ではない。

(20)
1932年と1936年に陸上選手として金メタルをとった女子ステラ・ウォルシュさんが亡くなり解剖した所、睾丸が発見されたという新聞記事が一時話題になったこともあります。

   (中略)

ところが、その様な女児では、思春期になると、睾丸から不充分ではありますが一応男性ホルモンを分泌される様になる為、“女”でいながら、睾丸から出る男性ホルモンが正常男児よりは少ないとはいえ、自然な形の無意識的な男性ホルモン・ドーピングが行われるということになる訳です。

(引用注1:これはおそらくPAIS+男性系二次性徴に該当する事例だと思われます。
 そして南アフリカの女性陸上金メダリストはなかなかに筋肉質ですので、 まさにこれであったのだろうと推測されます。
 ちなみにCAIS女性が金メダリストであっても全く問題にならないでしょう。
 男的な筋肉は一切付きませんし、男性ホルモン摂取しても全然筋肉付きませんから。
 XYの検査結果が出ても剥奪されずにいたメダリストはCAISだったと思われます)

(引用注2:記述の中で筆者はなるべく早く、当事者を「遺伝子的に正常な性=男」に戻すための医療行為を行うのが正しいと主張しています。
 これは、CAISに関しての意見だとすれば明らかな間違いなのですが、 PAISであったとしても、一刀両断で医師側が決定していいものではありません。
 IOCで意見を述べたり、東京夏季オリンピックや札幌冬季オリンピックで、 セックスチェック担当として競技出場停止命令を出されたこともある方なのですが、 遺伝子=性別というのがすべての前提に存在しているようです)

CAISの場合、細胞レベルで男性ホルモン全て拒否の体勢にあるわけで、
たとえ出産直後に検査で判明したとしても、男性として方向転換させるのは、実際の方法論を考えると、現在の医療レベルでは無理な方針となってしまう。

一方でCAISに関しては、これらの議論とは大きく異なった現実論が存在する。
CAIS女性は戸籍上女性で本人的にも他者認識においても女性なので、当事者とその家族と、当事者が婚姻関係を持つ男性にだけ限定で、十分な知識と教育が供給されていればそれで十分、という極めて現実的な側面を持っている。

結局の所、「へぇ~ 遺伝子が違ってるんだ。珍しいね」と、「親指が直角に曲がるんだ~」レベルで、軽い話題として普通に次の会話に移行できるような、そんな社会になれば、現在CAIS当事者が抱えている問題の半分が自動的に消滅し、他の疾患などでも起きうる、『不妊』という問題を、変更できない状態として自分のアイデンティティー内に安定して取り込む作業が、女性として一番大きな問題として残ることになる。

付1:AIS以外の性分化疾患(DSDs / Disorders of Sex Development)

先天性副腎皮質過形成(CAH / Congenital Adrenal Hyperplasia)

副腎がコルチゾールを分泌するのに必要な酵素を欠いたために起こる。
出生児20,000人に1人 [単純計算で5,000人/日本]
性別に関係なく発生するが、女児の場合、過剰な男性ホルモンが分泌され、
外性器が男性化し、男児として育てられるケースもある。
塩分を消耗する型の場合、副腎不全などで早期に重篤な障害を引き起こすことがある。

メイヤー・ロキタンスキ・クスター・ハウザー症候群
(MRKHS / Mayervon-Rokitansky-Kuster-Hauser Syndrome)


膣欠損症 とも呼ばれる
性染色体・性腺が正常な女性型なのに、理由も無く膣が欠けている症候群。
子宮は欠けているか未発達。卵巣は通常に機能している。
1 in 4-5000 female births. ->  [単純計算で10,000-12,500人/日本]
[下記のブログのデータに従うと、単純計算で1000人/日本]

MRKHS当事者のブログより
※この疾患はアジア圏黄色人種では50000人に1人、
 欧米圏では5000万人に1人と人種によって大きな差があり
 その発生は家族性に起こりうるものの、
 多因子的遺伝形式であろうと推測されています。
 合併奇形としては泌尿器系異常が47%と多く、10~12%に
 骨格異常が認められ、難聴を合併することもあるようです。


クラインフェルター症候群(Klinefelter syndrome)

染色体が47XXYまたは46XY/47XXYモザイク。
頻度は大体1000 - 2000人(男児500 - 1000人)に1人
[単純計算で50,000-100,000人/日本]
外性器・内性器は通常の男性形

ターナー症候群(Turner syndrome)

性染色体が45XOまたはまたは45XO/46XXモザイク。45XOが80%を占める。
外生殖器は女性型。
頻度は大体2000人~3000人(女児1000~1500人)に1人とされている。
[単純計算で33,000-50,000人/日本]
98%は胎児の段階で自然流産となる。低身長。無月経。
染色体の異常だけで全く普通の人とかわらない場合もある。

注:LGBTとGIDはDSDsカテゴリー外とする見解が現在では一般的。

《LGBT》
  女性同性愛者(レスビアン、Lesbian)・男性同性愛者(ゲイ、Gay)・
  両性愛者(バイセクシュアル、Bisexuality)・トランスジェンダー(Transgender)

《GID》
  性同一性障害(Gender Identity Disorder)

付2:知られているDSD女性

(34) スタニスラワ・ワラシェビッチ [ステラ・ウォルシュ]
(Stanisrawa Walasiewicz / Stella Walsh 1911/4/3 - 1980/12/4)
1932年オリンピック100m女子金。1936年オリンピック100m女子銀。1947年結婚。

1980年、強盗に襲われ死亡したため司法解剖が行われて、体内に精巣があることが判明。

初見は、『あいまいな性器と異常な性染色体を所有していた』

国際オリンピック委員会と国際陸連がコメントを出さなかったため、彼女の記録は残ったままとなっている。

補足:(33) 抜粋・要約

オリンピックでの最初のセックスチェックは視認だった。不満が続出したため、遺伝子検査に切り替えたが、今度はDSD女性がはねられる結果を生んだ。

1996年のアトランタオリンピックでは3387人の女性アスリートが検査され、8人のY染色体保持者が発見された。
4名のCAISと3名のPAISと1名の5α脱水素酵素欠乏症だった。
最終的にIOCは8名の参加を認めた。

これ以降、女性全員を対象とした検査は行われず、
ドーピングチェックの際に女性検査官が排尿時に視認したときの違和感や、同一競技参加者からのクレームがあったときだけ検査する。
外性器視診・内性器の画像診断・ホルモン採血・染色体検査をやるが、一番目がメイン。

外性器が一番、男性ホルモンの効きかたがわかりやすいとのこと。

性別を確定したいのではなく、男性ホルモンが効きすぎてるんじゃ、他の競技者に対してアンフェアだという論点による。

なお、過去において金メダル剥奪まで至ったものは、DSD女性ではなく、普通に男性だったものが偽って女性として活躍したものがほとんどと言われている。
Eden Atwood
ジャズシンガー CAIS
本人がカミングアウトしています。

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この二人以外にも、アスリートを中心に多くのCAIS(及びDSDの)女性が、確認されていますが、ここでの紹介は控えます。

かわりにそのうちのひとりの経緯を邦訳しました。オリンピックでDSD女性が拒否されていた時代のものです。

(35) 抜粋
The next day, her story was front page news.
She returned to [Mother country] to lose her university scholarship and her
boyfriend. “I knew I was a woman in the eyes of medicine, God, and,
most of all, in my own eyes,” [She] told a reporter. “If I hadn’t
been an athlete, my femininity would never have been questioned".

次の日、彼女の生い立ちは新聞のトップを飾った。
彼女は母国へと戻った。大学の奨学金とボーイフレンドを失うために。

レポーターに彼女は語った。

「自分自身が女性であることを私は知っています。医学的視点からも、神の目から見ても、そしてあらゆる意味においても、私自身のこの目で」

「私がアスリートでなかったなら、私の性が問題になんてならなかった、決して」